ホローセンターの製作

 新しい試みの製作を始めるにあたり

製作工程・手順を見直すことになりました


今までは初めに角材に穴を開けておき

その穴の両端を基準にして

外径の加工を行っていました

どうしても穴あけの際にぶれが生じるのか

偏心して肉厚が変わってしまうことがありました


古楽器製作について詳細に紹介されているページがあるのですが

その方の方法を見習うことにしました


角材をセンター保持して丸材に加工し

そのセンター穴の痕を利用して

ガイド用の穴をあける

というものです


その際に必要なのが

ホローセンターと呼ばれる工具なのですが

どこを探しても製品は見つかりません

ですので

自分で作ることにしました


このように先端が取り外せる回転センター用パーツがあったので
これを利用することにしました
(画像は既に2.5㎜の穴をあけた状態です)

Φ8の刃物鋼を削って先端の尖った形状にします

元のホルダーにホーローネジ用の穴をあけタップをたてました
先程加工したセンターチップにも固定用窪みと
フライス加工をおこないました

元々のセンターチップはテーパーで固定されるのですが
この場合はネジで固定します

ネジを締めて通常のセンターとして作業します

作業が終わったらネジを緩めます

テールストックを送るとセンターが引っ込んでいきます

外周部分が当たり更に送ると食い込んで固定できます
一旦外しても痕が残るのでセンターを保持できます

センターチップを抜いてセッティングし直し
テールストックの後ろからΦ8ロングドリルを挿入し
下穴をあけることができます

円柱の両端を固定した状態で穴あけできるので
より精度が出せるというわけです












久々の猫耳加工

現在は基本的には行っていませんが
楽器店を通じて
歌口の Tuning 依頼がありました
しかも
以前 S.F.E.Tuning という名で行っていた
猫耳加工です
(Scottish Fold Embouchure)

最後に手掛けたのは2年ほど前だったと思います
しかも
送られて来た頭部管には彫刻が・・・


エッジ近くの左右の花の彫刻に
ギリギリ干渉しそうです

万が一加工中にキズをつけてしまうと
キズ取りをして磨かなくてはならなく
彫刻に影響してしまいます

細心の注意を払いつつ
穴の形を整え
アンダーカットを施し
加工を進めました

やはり彫刻に干渉しないために
耳のサイズが小さくなりました

それでも
元の状態よりもポイントが広く
吹きやすくなったと思います

管体 958 リップ 990
だそうです
最近は銀も純度にこだわるのですね・・・


歌口の剥がれ修理

パウエル 14K Gold の歌口が突然外れてしまった
ということで
修理の依頼がありました



ハンダの状態を見る限りでは、製作時のハンダ付け不良のように思われます


全体にハンダの量が少なくまわっていない部分があります
フラックスの濡れ不足とハンダ付け温度が高かったようで
金属間化合物 AuSn4 が形成されている様に見えます

後からハンダの処理をした際に
鉛は残っていなかったので PbSn ハンダではないようですが
ライザー側には銀が残っていたので
AgSn ハンダかもしれません

※金のハンダ付けには AuSn ハンダが相応しいのですが
 高温になることもあり修理では PbSn ハンダを使います
 (更に低い温度の InPb ハンダもあります)
AgSn ハンダは金との相性は良くありません


残ったハンダを綺麗に剥がしてから
       ↓  元の位置に合わせて固定(カラゲ)します  ↓(カラゲ線)
この様に鏡を入れて目で確認すると共に
細く尖らせた針の先端でライザー面から管に向かって触れ
前後左右に段差のないことを確認します

位置が決まればフラックスをまわして
バーナーで炙ってハンダをさすだけなのですが・・

製作時は管の上に乗ったライザーとの境目に
上からハンダをさせば良いのですが
修理の場合はライザーの外周からハンダをささなければなりません
しかも
この歌口は接合面の面積が小さく
リッププレートの下の奥まったところに
ハンダをささなければなりません

苦戦したものの
なんとか元の位置にハンダ付けすることができました

殆ど元の形に触ることなく
磨いて仕上げた程度です

ついでに
管の上部に一周してあった歪も

目立たないように修理しました



この頭部管は以前にご相談を受けていたこともあり
音の状態を把握していたのでお引き受けしました
いきなり「元通りの状態になるように付け直して・・」と言われても
剥がれる前の状態を知らなければお引き受けできない場合があります

たとえ寸分違わず付け直すことができたとしても
熱を加えた上にハンダの処理をして磨き直しをするのですから
100%変わらないという保証はできません
仕上がりの確認で何か問題を感じたとしても
それが修理に因るものなのか元々なのか判断できません
修理した上で問題の無い状態に調整することまでをお任せいただけるのであれば
このような修理もお引き受けいたします。

彫刻の試み V

今日はアルミ板で練習してみました

大文字は一文字5.5x7mm位の大きさですが
今のところこの大きさを彫る用途はありません・・・

アルファベットの小文字とアラベスク
何箇所か刃物を滑らした跡が・・


デザインと下書きをきちんとすれば
少しずつそれらしくなりそうです

頭部管フォルムゲージ

久々に頭部管の製図(CAD)をし直しました

最初の寸法から2度の変更があったのですが
前にプリントアウトしたものに手書きで寸法を書き直して使っていました


折角なのでついでに
旋盤作業の際に形状を確認するゲージ(上)と
リッププレートを削り出した後の
フラットなラインを確認するためのゲージ(下)を作りました
材料はベークライト板です

そろそろ頭部管の製作に取り掛かることにします

彫刻の試み IV

今日もまたリップの彫刻を練習してみました

ちょっとシンプルな葡萄のデザインです

今回は彫り直しなしで一気に彫ってみました
まだまだ思うような線になりません


今までの葡萄3種
向こうの二つは2,3度手を加えています



彫刻の試み III

少し前にバンドソーで指をケガしてしまいました
左手中指の爪を半分ほど切っただけで
大事には至りませんでした

そんなこともあり
あまり指に負担の掛かる作業もできないので
緩々と彫刻の練習をしています

今回はキーカップにキズをつけてみました

その前に彫ったクラウンと管体へのマークと一緒に



彫刻の試み II

タガネの研磨と
ハンドピースの調整をして
次の彫刻を試みました



ほんの少しだけ
彫刻らしい線を彫ることができた気がします

あとは練習を重ねていけば
もう少しなんとかなるかな・・・


彫刻の試み I

先日製作した治具を使って
実際に彫刻を行ってみました



固定治具の使用感は
多少問題点はあるものの使えそうです

それよりも
彫った線が汚くてまだまだ彫刻と呼ぶには
恥ずかしい状態です

もう少し綺麗な線が彫れるようにしなければ・・・


タガネ研磨ガイドの製作

タガネ(刃先)研磨用のガイドとなる治具を作りました

とりあえず90度と120度の2種類

材料はアクリル板とボルト・ナット

硝子板の上にサンドペーパーを敷いて研ぎます
きっちり面が出せるので
ヘタクソでも上手く研磨できます

もっとよく切れる刃物を作らないと・・・

頭部管彫刻用治具

リッププレートに彫刻する際
通常はヤニ台を使ってこのように固定するのですが
これでは頭部管についた状態では固定できません
また
付着したヤニの洗浄も厄介です

そこで
頭部管ごと固定できる方法を考えてみました

あり合わせの材料で形にしてみました
 
左のハンドルを緩めると管を回して簡単に角度も変えられます
これで既成の頭部管への彫刻も可能になりました
歌口単体でも
ダミーの管に仮付けして同様に使えます

あとは練習するのみです

Pneumatic Engraver Machine Handpiece Ver.2

どうもピストンのインパクトが弱いようで
ほとんど手の力で送っている状態でした

YouTube を検索すると
バネを使わずにピストンに穴を開けて空気を噴出して駆動するタイプ
の製作例がありました
あれこれ検討して第2弾を作ってみることにしました

前回は鉄のボルトとナットから加工したのですが
今回はピストンとコレットチャック以外は
真鍮の丸棒から削り出しました


この画像では既に加工済みですが
シリンダーの中にΦ6とΦ8の穴の開いた仕切りが入っています

振幅調節用のナットには初めてローレット加工を施しました

ホースをつなぐニップルはポストを丸棒から削り出し
タケノコと呼ばれる先端は製品の先端を切って加工しました

タップとダイスによるネジ切りは
真鍮でもこの位の径が限度のようです

コレットチャックのガイドピン(丸棒)と
ニップルのポストとタケノコはロウ付けです

木のハンドル(マッシュルーム)は山桜を使いました
丸い凹みには後で銀板に彫刻して貼ろうと思います



ピストンの向きによって
シリンダーとの摩擦抵抗が大きくなるようで
時々振動が乱れることがありますが
コンプレッサーの圧力の幅に追従して
以前より強いインパクトが得られるようです


そして
彫刻したプレートを貼り付けました

彫刻台バイスの改造

数年前に購入したものの
彫刻台の用途でなく回転バイスとして使用していたのですが
いざ彫刻に使ってみると
抵抗感があり重くて使い難く感じました

重さは9kgもあります

洗浄して潤滑剤を塗ってみましたが
ぬめーと動くものの重さを感じストレスがあります

そこでベアリングを入れてみることに
センターの凹んだ部分に厚さ1㎜のワッシャーを敷き
2㎜厚のスラストベアリングを入れてみました

重い感じは軽減したもののまだゴロゴロと抵抗感があります
そこで
厚さ4㎜ 内径70㎜のスラストベアリングをさらに
これで滑らかに軽く回るようになりました

ついでに固定ピン用の穴もあけました

動画も載せておきます


洋彫りタガネの製作

いよいよ彫刻用タガネの製作です

和彫りタガネについては
製作記事などもネット上に結構あるのですが
洋彫りタガネ・・というよりも
コンプレッサー用ハンドピースの刃物については
あまり見つけることができません

とりあえず YouTube の動画を観て
形を真似することに

材質もハイス(HSS)か超硬(カーバイド)
が使われるようですが
あえて赤タガネ(炭素鋼)を使います

ヤスリで成形できるのが一番の利点ですし
研ぐのも楽です


五角形の形状が主流のようですが
2通りの方法で削ってみました

 成形後の焼き入れ

 焼き鈍し

左は下から 右は上から見た画像
面の取り方が違います

真鍮に試し彫りしてみました
 よく切れないせいで
 汚い線です

研ぎ直して多少切れるようになったものの

まだまだ彫刻と呼べるものではありません

少しずつ練習してみようかと思います








 こちらも note に投稿したのでリンクを貼っておきます。 https://note.com/utakuchikoubou/n/n54424a95df5e