ガウジ用冶具とグラインダーの整備

木工旋盤による加工では
チャッキングと刃物の切れ味が重要です
前回ブレ止め冶具を作りましたが
今度は刃物を研ぐための冶具を
作ることにしました

いつものように
身の周りに転がっている材料で作りました

 スピンドルガウジを研ぐための冶具です

使用した材料はサクラとナラ材です
 この様にセットしてグラインダーで研ぎます
まだ残った部分もありますが
綺麗に研げるようです
今回はフィンガーネイル・ボウルガウジに
近い形にしました

ついでに
グラインダー周りも整備して
スピンドルラフィングガウジの方も
スライドレールをセットして作り直しました
前回の様子はこちらをご覧ください

グラインダー本体を固定した板に
スライドレールも固定して常設しました
ただ
ベアリング部分がむき出しだったので
ジャリジャリで大変なことになりました
何か対策を施さねば・・・

続く

ブレ止め冶具の製作

最近管の穴あけ(中ぐり)加工で
うまく行かないことがあるので
ブレ止めを使ってみることにしました

木を使って
一から作ることも考えたのですが
金属加工旋盤のオプションとして購入したものを
流用することにしました

 
製作と言っても
ただ単に高さを合わせるために
板を重ねて貼り合わせるだけです
手元にあった材料は少し幅が足りなかったのですが
たまたまぴったりの高さになったので
2段重ねにしてもう1枚と貼り合わせました
裏側は木工旋盤のベースの溝にはまるように
突起をつけました
少々緩めになってしまったので
0.3mm厚の洋白板を両側に付けました
バネのような効果もあり
ちょうど良い感じでスライドします

このようにして使います

因みに
押さえ用の3つの爪は
以前砲金製からPOMに交換しました


ピッコロ頭部管 ニュータイプ その3

今まで
マスールバーチとデザートアイアンウッド
の2本で
新しいタイプの頭部管を作りましたが
いずれも
ほぼ形が出来上がっている物から作り直しました

今回は一から作り始めました
 ほぼ成形した状態で、内管、ジョイント、リング等を合わせます
仮合わせをしたところ
この後当たりを調整して接着します

リッププレート部分を削り出してから
歌口穴を開けます
木部と銀管を同時に穴あけするのは今回が初めてです
センタードリルを使うのですが、このあと中々貫通できません
ドリルの方が良いかもしれません
 根気よく続けて貫通しました
ロータリーバーによる加工も慎重に行えば問題無さそうです
ナイフによる切削は問題ありません

ほぼ出来上がりました

磨きが終わりました
真黒(マグロ)といっても少し色の違う部分があります
 
あとはオイルを塗布して仕上げです

でき上りました

今回はゲマインハートの Roy Seaman LTD
というピッコロ用に注文製作しました
この楽器にはジョイントのキャップが無かったので
急遽作ることにしました
キャップ全体を木で作ることもできるのですが
接続部分とケースの枕の隙間が殆ど無かったので
金属で作ることにしました
フルート用の銀管を切って細目のチューブを作り
洋白のリングを端にロウ付けしました
 木部はワイルドオリーブウッドです


オリジナルの頭部管は高い音も問題なく出るのですが
新作頭部管もストレスなく鳴らすことができ
より吹き易い印象です

まだ3作目ですが
安心して楽に吹ける頭部管になったようです



イスノキ(ユシギ)製頭部管の製作

今度はフルート用頭部管の製作です


長い材料から
最も良さそうな部分を切り出します

一番上の部分が頭部管にする部分です
下の材料の端には割れがあります

取り敢えず円柱に加工しました
両端の直径まで全体を落とします
手持ちのチャックの都合でこの直径以上は掴めません

この後穴あけ加工をしたのですが
貫通した穴は
片側がかなりセンターからずれてしまいました

できた穴を基準にして
何とかならないかと試みましたが
残念ながらお釈迦になりました

新たに材料を切り出して再び加工を始めました

穴あけは上手く行ったのですが
加工していくうちに節が現れました
最初に失敗した部材の方が良い部分だったので悔やまれます

とりあえず穴埋め補修をして進めることにしました

全体としては結構柔らかい印象なのですが
刃物やヤスリを使って加工していると
場所によってかなり硬さの違いを感じます
削りカスも細かく舞い上がります

取り敢えず歌口の加工ができました

銀パーツの接着も済み最終的な形状の仕上げが終わりました
節の部分はこの様になりました

磨きも終わりました

後はオイル処理のみです
この材料はオイルを塗布すると
すぐに表面が乾いて来ます
通常は3回ほど塗り重ねるのですが
今回は5回行いました

節の部分もこの様な感じになりました


出来上がりました

音も柔らかめでなかなかの感触です
前作のピッコロと共通するものが感じられました
それと同時に
最近の歌口カットの特徴も現れているようです




ジョイント・エキスパンダー 改

先日6本の調整を続けて行ったところ
金属部分が手に当たり
まめができてしまったので
握り部分を更に大きくしてみました


手のひらにちょうど収まって良い感じです!

ジョイント・エキスパンダーの製作

ピッコロのジョイントのすり合わせは
非常にデリケートで
重要な部分であります

実際に使われている工具を見せて頂き
注文すれば既製品を入手することができるようです

なんとなく
イメージができあがったので
手近なパーツを使って自作することにしました

こんな感じで使います

 
木の握りもつけてみました

まだ改良点もありますが
とりあえず調整冶具として使えそうです


デザートアイアンウッド


別名:砂漠鉄木
学名:Olneya tesota
科名:マメ科 
産地:ソノラ砂漠(アメリカ・アリゾナ州からメキシコ北部)
比重:0.86~1.20
硬さ:10

長い年月にわたって、砂漠の中に埋もれて化石のようになっていく硬い木。
「神代」のようなものだが材質は異なり、ほぼ石化しているといってよい。
丸太の状態でも埋もれており、辺材部分も残っている。
リグナムバイタよりも硬い。
東南アジアで産出されるウリンなどのアイアンウッド(鉄木)とは異なる。
※誠文堂新光社 樹種事典 より引用

本の説明では
「ぞうきんを半乾きで放置した時の臭い」
とありますが
スルメのような魚介系の臭いにも近い感じで
それほど嫌な匂いではありません・・




画像はオイル塗布前の磨いただけの状態


マスールバーチ

学名:Betula spp. (B.alba など)
科名:カバノキ科
産地:ヨーロッパ(北欧、ロシア、ベラルーシなど)
比重:0.69
硬さ:7

ヨーロッパに生育するカバ(ヨーロピアンバーチ)の中で、木目が入りくんで複雑な表情をした杢が現れる材のことをいう。
マスールバーチという立木の樹種はない。
この様な杢が現れるのは、若木の時期に小さい虫が木の中に入り込んで、虫食いされたことから生じる現象という説がある(遺伝変異や病気の影響から生じたという説もある)。
メープルより硬く粘りがある。
※誠文堂新光社 樹種事典 より引用



 こちらも note に投稿したのでリンクを貼っておきます。 https://note.com/utakuchikoubou/n/n54424a95df5e