レーザー彫刻機の導入


 

以前トラヴェルソに入れるマークの為に焼印を作った

初めは真鍮の板に英字を書いて糸鋸で切り取ったシンプルなもの

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次にCNC旋盤で真鍮に彫刻したもの

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さらにちょっと装飾を加えたものも作ってみた

これをハンダゴテに取り付けて熱して押すわけだが
曲面に綺麗に押すのは結構難しく
ずれたり曲がったりとやり直しが利かずに失敗も多かった

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最後に刻印を打って楽器が完成となる筈が
刻印を失敗してお釈迦になってしまっては目も当てられない

曲がらずに同じ位置に打てるような治具を作って工夫してみたものの
やはり完璧にはいかない

Facebook を見ていると時々レーザー彫刻機の広告が入ってくる
金属への彫刻を考えなければ手の届く価格ではある
Amazon を見るとさらに安いものが出回っているので
YouTube の紹介動画などを観て検討した

たとえ実用にならなくとも活用はできそうなので
安いものを導入してみることにした


ちょっと附属の紙で試してから色々なものに彫ってみた

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木は勿論のことアクリルにも思った以上に綺麗に彫れた
懸念していた曲面の彫刻も問題ないようである

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これなら十分使えそうである

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アクセサリーを入れる箱もちょっと高級感が出る

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こんなこともやってみた(3㎝ 四方)


綺麗に彫刻するためには
レーザーヘッドを回してピント合わせをする必要があるのだが
対象物によってその都度調整するのは面倒だし
結構力が加わるので不安でもある
なるべくピント合わせ不要になるよう
対象物との距離を一定にできること
位置合わせや並行が出し易くなるような工夫を考え
簡単なセッティング台を作ってみた

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それにしてもオモチャ程度の価格で
これだけの性能が得られることは驚きである
中国の技術おそるべし・・・


※ note より転載


セヒージャ Cejilla

 スペイン式カポタスト ”Cejilla” を作りました



少しだけギター(フラメンコ)を弾くので
以前自分用に一つだけ作ったことがあります
(今も使っています)

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縞黒檀製

ちょうど良い大きさの材料が残っていたので
ペルナンブーコで作ることにしました

ブラジルウッド Brazililwood
【別名】ペルナンブーコ Pernambuco
【学名】Caesalpinia echinata
【科名】マメ科
【産地】ブラジル
【比重】0.98 ~ 1.28
この木から「ブラジル」と呼ばれる赤い染料が採れることから、ブラジルという国名が付けられたといわれる。
バイオリンの弓に使われる。

例によって鋸による手引きなので手間が掛かります

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あとはヤスリで成形していきます

ペグはロクロで二段の円柱にしてからヤスリで成形します

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木部の加工が終わり
あとは弦を押さえる部分にゴムを貼り
革のベルトにナイロンストリングを通して取り付けて完成です

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実際にはこのように装着します

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色々な木を使ってそのうちウクレレ用も作ってみようかと思います

※ note より転載


歌口交換

 お客様からの依頼で
銀製頭部管の歌口を木製に付け替えることになりました

材料はいろいろ検討した末
リグナムバイタにすることにしました

リグナムバイタ Lignum vitae 
【別名】ユソウボク(癒瘡木)
【学名】Guaiacum offcinele
【科名】ハマビシ科
【産地】中米、カリブ海沿岸地域、南米北部
【比重】1.20 ~ 1.35
世界で最も重くて硬い木の一つ。

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同じハマビシ科のパロサントに似ていますが
さらに硬く匂いはもう少し柔らかく甘い良い香りです

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上は外した銀の歌口です
画像では遠近法であまり差があるように見えませんが
かなり大きな穴に感じます

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歌口を外した管の穴が大きいので
銀の板をロウ付けして埋めました
落ち込まないように予め4箇所に板を5分ロウで付けておきました

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削り取って仕上げました
左右の真鍮ポストはより強固に歌口を固定するためのものです

その後の工程は省略しますが
今までよりも歌口穴を小さめに抑えました
一度吹いて確かめた後
ピッチと感触を調整するためもう少し削り直しました

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オイル処理をして乾燥させ最終確認をしました

最近私の中では小さめの穴の方が
より良い音と吹奏感を得られるように感じられてなりません


※ note より転載



レースウッドの頭部管

トラヴェルソ・タイプ(丸穴)のフルート頭部管
4本目はレースウッドで作ってみました


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レースウッド Lacewood
【学名】Euplassa pinnata
【科名】ヤマモガシ科
    広葉樹
【産地】ブラジル
【比重】0.82

以前
オーストラリア原産の ビーフウッド 
ピッコロ頭部管を作ったことがありますが
同じヤマモガシ科で似たような模様でした
ただ比重は 0.62 と軽い印象だったのですが
レースウッドはずっしりと重く感じます

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オイル処理前の状態



今回接続管はゴールドの楽器に合うサイズにしました
初めて使う木ですが中々良い感じの音と吹奏感です

今回ピッチは問題ないのですが 高音域の音程 特に3oct.のGから非常に高くなります

穴の大きさと深さ 更に位置とテーパーの関係を詰めていかないことには・・・


 

ピッコロ頭部管

 前回に続いて二作目が完成した




今回は銀管貫通タイプではなく接続部分のみの仕様である

結局形状は前回同様セパレート型の接続にした

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接続管の接着にはひと工夫して強度を増したが
交換も可能なようになっている

今回はヘルムート・ハンミッヒに合う接続のサイズにしたが
後に他のメーカーに合わせることも可能だ

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ピッコロの低音域(第一オクターヴ)は息漏れの音が目立ち
広がった芯のない音になりやすい(私が吹くと)のだが
この頭部管は輪郭のはっきりしたまとまりのある音がする
中音域では Es 辺りがちょっと鳴り難い感がある
高音域 G から上あたりは通常よりも鳴らし辛い
小さい穴だから高い音が鳴りやすく低い音は鳴りにくい
と思いがちだが正反対の状態である。

最も気になるのは、音程のバランスである
低音域が高く高音域がかなり低くなる傾向がある
通常の感覚で吹くと音痴になるが
トラヴェルソのつもりになれば対応はできる
コルク位置や穴の大きさも含めて
もう少し詰めて行けば実用になる気がする

多少の扱い難さは少々我慢しても
余りある音色の魅力を感じるのは私だけだろうか?

これから少しずつ第三者の意見を伺って行こうと思う


※ note より転載


Fg 用ハンドレストの製作

 楽器店経由でファゴット用ハンドレスト(通称”ウンチ”)の

製作依頼がきた


今までもいくつか作ったことがあった

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これは遊びで作って知人にプレゼントしたもの
(猫のつもりだがちょっと変)


今回は依頼者から形状(曲線)の指定があり

紐を巻いて形作ったものが送られて来た

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今までは自分で作った下の2種類の型を用意して製作していたのだが

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先ずは新しい型を作ることから始めた

今回は削り出すための型とラインを確認するための

2種類の型をベークライトで作ってみた

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楽器に取り付けるシャフトの軸径が実測では 4.15mm になっている
4mm 規格の真鍮丸棒の実測値は 3.95mm なので細過ぎる
仕方なく 5mm 丸棒を旋盤で 4.15mm まで削ることにした
反対側は4mm(-)にしてネジを切った

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無事寸法通りに


次に材料の木の加工に入る
使用した材料は本紫檀
30×30 の角材を横幅に合わせて 20×30 に加工するところから
こんなものはバンドソーを使えば数秒で終えられるのだが
だいぶ前から壊れて使えない
仕方なくソーガイドを使って手引きで
その為には一工夫必要なので
別の角材を接着してガイドが安定して固定できるようにした

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無事に終了

型を使って材料の両面に形をけがく

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まずはシャフト固定用の下穴とタップをたてておく

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そしていよいよ成形するための最小限の余分をカットする

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これもバンドソーを使えば形通りに楽に加工できるのだが・・・

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そして全体を仕上がりの形に削る

ここからセンターの仕上がりラインを残して曲面を形作る

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まずは片側だけ

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そして反対側も成形し
全体のバランスを整える

ここまで加工は全てヤスリで行うのだが

数えたら12本のヤスリを使っていた

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あとは磨いて仕上げれば終わりだが

その前に

刻印を打って

シャフトも接着しておく

HR-07  HS
HR-07  HS

磨き終えて完成(手磨き)

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このあとオイルフィニッシュ仕上げの後、数日乾燥させて納品

だいぶ印象が変わる


単純ながら結構手間の掛かる作業である



バロックフルート風歌口の頭部管

このところこのブログもサボり気味であった


ここでは全く取り上げていなかったのだが

Modern pitch one-key flute

というバロックフルート(トラヴェルソ)

の製作を始めた

その影響で

現状のフルート頭部管の歌口穴が

バカデカくて違和感を感じるようになった

そこで

小さな丸穴の頭部管を作ってみたところ

思いの外面白い結果が得られた


最近の動向については

こちらや

こちらを

 参照していただきたい


そこで次にピッコロでも試してみることにした

以前穴あけを済ませておいた材料があったので

それを使ったのだが

内側に銀管を貫通するタイプの仕様だった


フルートでの経験もあったので

ピッチには考慮したのだがまだ低めだった

接続部分を外して
切り詰めて成形しなおそうと思ったのだが
上手く外れず失敗してしまった

新しく作り直すことも考えたが
違う形で再生することにした

Manckeと同様にアダプターを装着するタイプに



ピッチの確認をしながら調整するには
この方が都合が良かったが
今後どうするかは悩むところだ

最近この手の歌口に慣れてしまったせいか
吹き辛いと感じることもなく
この方が良好に思える

もう少し作ってみたくなった












 こちらも note に投稿したのでリンクを貼っておきます。 https://note.com/utakuchikoubou/n/n54424a95df5e