オールドヘインズの修理 その1

このところ
チューニングというよりも
結構大掛かりな修理が続いたので
ついでに取り掛かる事にしました


菅原潤氏から
状態が良くないので研究材料にでも・・・
頂いてしまった古いヘインズのレギュラーモデル
 #7693 
どうやら1926年頃に作られた楽器らしい
ということは・・なんと 90歳 !

確かに鳴りは良くなく
頭部管を替えてもあまり変わらなかったのですが
とりあえず頭部管をさわってみる事にしました


この頭部管の歌口穴の中心から管の端までの長さは
155mm あります
現在の頭部管は殆どが
150mm です

ところが
胴部管 Cis トーンホール(中心)から歌口穴までの長さは
約 230mm ですので
今の楽器と変わりません

頭部管は長めでも胴部管は短くなっていて
辻褄が合っている訳です
ですので色々な時代の楽器をいい加減に組み合わせてしまうと
ピッチが合わない状態になってしまいます
それを無理やり管を切断して合わせてしまう・・・
などと云う事が巷では行われているのではないでしょうか?

この楽器は
3~4mm抜いた状態でA=442Hzに合わせられます

見たところ特に問題は無さそうです

ところが中を覗いてみると
ライザーと管の穴の位置がずれています
あとから歌口を付け直すか交換されているようです

本来ならば穴を埋めて元に戻すだけの方が良いのですが
オリジナルではなそうですし
ちょっと試したい歌口があったので交換することにしました

外してみると
変わった切り欠きがあります
こんな絵をイメージしてしまいます・・・
何かのしるしなのでしょうか?

先ずは管の穴を埋める事にします
銀管の切れ端に穴の形をケガイて切り取り
穴に合わせてやすりで削りながら合わせて行くと
ピッタリはまる状態になりました!

 ロウ付けして磨いたところです

磨く前に凹みを治したのですが
どうやったらこんなに凸凹になるのか
という凄まじい状態でした
(元の画像を撮り忘れました・・残念!)

マークの刻印も既にこんなに薄くなっているので
ほどほどで止めました

そして
新しい歌口をはんだ付けしました

形はほぼ作ってありましたが
管の部分を削りつつ細部を修正して仕上げました



完成しました

新しい歌口もシンプルな形状ではありますが
明るくクリアーな音に変わり若返ったようです

前から疑問に思っていたのですが・・
ヘインズのレギュラー管は接続がかなり太めです
管厚が厚いへヴィー管かと云うと
それほど重量的な重さも音質的な重さも感じられません

その疑問を解決すべく
測定してみることにしました


手持ちの Haynes  Handmade Heavy #40482
と比較しました
ヘッドスクリューやクラウンの形状もかなり違いますが
レギュラーには接続部にリングが付いています

       レギュラー   ハンドメイド(Heavy)


    全長   230mm     225mm         

         重さ    83.2g      91.6g               

         管厚   0.30mm    0.46mm              

         樽内径   19.9mm     19.8mm               

※接続部の外径は測り難いので胴の樽内径の値にしました
管厚も正確ではありません

やはり管厚は薄いのに太い・・・
すなわち内径が太いということになります
ハンドメイドは標準のΦ19.0ですが
レギュラーはΦ19.2~19.3です

私の師匠の楽器の
古いセルマー S-1770
で感じた印象も同じでした
太いのに軽い・・・

大昔の傾向だったのでしょうか?

  

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 こちらも note に投稿したのでリンクを貼っておきます。 https://note.com/utakuchikoubou/n/n54424a95df5e