以前
北山杉を使ってフルートの頭部管を作れないだろうか?
というご相談を受けました
それ以前にも
秋田杉を使って頭部管はできないものか?
という別件もあったのですが・・
杉は余りにも柔らかくて軽く
防水のことや耐久性・強度についても心配ですし
なによりも
ちゃんとした音が出る楽器になるのか
全く自信が無かったのでお断りしていました
その後
今度は飫肥杉(おびすぎ)を用意するので
それを使ってお願いできないか・・
というお話がありました
実際に試してみないことには
可能か不可能なのかもわかりませんので
ちゃんとした楽器になるかどうかは確約できない
という前提で
お引き受けすることにしました
この様な形でご用意いただきました
40㎜x40㎜ と太目の角材だったので
通常の工程とは変えて
最初に丸棒に加工することにしました
通常扱う木とは全く異なり
スクレーパーを当てるとささくれてむしり取られる感じです
硬い木よりも
むしろ刃物の切れ味が重要かもしれません
穴あけ加工も何とか終了しました
とにかく柔らかいので
チャッキングには気を使います
この軽さは
形状から云ってもまるでうまい棒のようです
(ちくわの方が重いと思われます)
そしてここまで形に出来ました
部屋中に杉の良い香りが漂います
次にヘッドキャップを作り始めたのですが
画像の様に加工途中で欠けてしまいます
何度か挑戦したのですが
加工方法を変えないと上手く行かない様です
場合によっては別の材料にすることも考えました
歌口の成形も終わり
後は仕上げの方法と金属パーツの取り付けです
今回初めて木固めエースという物を使って
木固め処理をしてみることにしました
要はポリウレタンの樹脂を染み込ませて硬くするのですが
かなり強いシンナー臭ですので
作業は屋外で行いました
2分ほどドブ漬けにして拭き取り丸1日乾燥させる
という作業を5回行いました
途中シンナーで拭き取り水研ぎしたりと
かなり手間の掛かる作業でした
今回は2本の頭部管を製作することになっていたので
1本は木固め処理をして
もう1本は通常のオイル仕上げにすることにしました
左が木固め処理の終わった頭部管
右はこれからオイル処理に入る頭部管です
ヘッドキャップもなんとか作ることが出来ました
通常はなるべく杢目や色合いをそろえる為に
同じ材料の部分から作るようにしているのですが
今回はそのようにできませんでした
ようやく完成しました
飫肥杉ということで OS-1・OS-2 としましたが
どこかの飲料水の名前のような・・・
さて
肝心の音ですが
土産物屋で売っているおもちゃの笛ような
情けない音になってしまうのでは・・
という懸念もあったのですが
意外というか
結構しっかりした音が出ました
柔らかい音ですが
木固めした方はよりクリアーな音になりました
用途や環境によっては
十分演奏に耐える楽器になったと思います
ただ耐久性や強度には不安も残ります
また細部の仕上げにも妥協せざるを得ません
ので
この先もうこれ以上は作りたくない・・・
というのが正直なところであります
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